最近Twitterなどでこの話題を見かけることが多くなりました。
農工大学って大学がら、授業の中でもこの話題は何度か聞いてきたし、
研究者も農工大の元教授や、名誉教授の中に多い。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110115dde041040023000c.html
そういうのもあってか、この話題非常に興味があるので、
ちょっと自分の考えをまとめてみた!
まず大前提として、
オオカミの導入に関しての自分の立場は現時点では反対。
現時点で日本におけるオオカミ導入のリスクと効果の測定がまだまだ不十分だと感じる。
けれど、時間をかけた調査のための試験的導入には大賛成。
オオカミの導入が様々な問題を生みかねない、それをテスト、調査し、その上で一般化が可能であれば導入すべきだろう。
マングースみたいになってしまっては話にならない。
このような大前提の上で、
オオカミ導入における課題を考えてみた。
自分が思う課題は6つ。
1.人を襲う可能性
2.地域住民への理解
3.世間一般への理解
3.オオカミ導入による害獣への効果
4.他の生態系への影響(導入にあたって病気を運んだり、希少種を捕食したり等)、
5.オオカミ自体の個体数管理難易度
1.人を襲う可能性
オオカミが人を襲うリスクだ、特にオオカミの導入が必要とされる農村地域は過疎高齢化が進んでいる。
人が山に入ることが減り、里山の機能が損なわれ、人と野生動物の距離が近くなっているという問題が現状すでに起きている上でオオカミを導入すると、必然的に人とオオカミの距離も近くなる。
そのような中でオオカミが人を襲わないのか、襲うのであればそれを止めるための対策は行いやすいのかどうかが問題となる。
2.地域住民への理解
害獣に対して、もっとも危機意識を感じており、そのための対策を必要としている。
地域における害獣問題の関心は都市部の比ではない。
その一方でオオカミ導入における直接的な被害を受けるリスクも高い当事者。
地域住民の中でも害獣による被害、考え方にはムラがある。
そのような中で合意形成はきちんとできるのか?
3.世間一般への理解
害獣の被害の深刻さに対しての理解が非常に薄い。
オオカミ導入における被害も受けにくい。
しかし、オオカミによる人に対しての被害が出た場合、
倫理的観念からの反応が強く出る。
3.オオカミ導入による害獣への費用対効果
オオカミの導入が実際に害獣被害を削減する費用対効果があるのかどうか。
導入にかかる費用や人的被害を削減するための対策にかかる費用、オオカミ自体の個体数管理にかかる費用などなど。
4.他の生態系への影響(導入にあたって病気を運んだり、希少種を捕食したり等)
海外から輸入するにあたり、オオカミ自体が寄生虫や病気を運搬する可能性(ヒトにかかる病気、他の野生動物にかかる病気を含む)、オオカミがシカなどを食べず、希少な生き物を捕食したり、生態系のバランスを壊すようなことにならないかという調査。
5.オオカミ自体の個体数管理の難易度
少数では人を襲うことはなくとも、群れをつくり個体数が増えるとヒトを襲うリスクが高まる可能性もある中、生態的な適正数とヒトに対してのリスクを下げるための適正数があるかと。
そのバランスを調査すべきかと。
またそのバランス、オオカミの個体数は人が管理することなく、適正数が保たれるのか、
増えすぎてしまうのであれば、駆除は簡単にできるのかという問題。
順応的管理のしやすさですね。
まとめると、要点は2つ。
・費用対効果
オオカミの導入が実質的に費用対効果が合うのかどうか。
・地域住民と世間一般への理解
費用対効果が合うとして、それが住民感情、世間一般に受け入れられるのか、という問題。
2つ目は、
極端な話、年間わずかの人が死ぬリスクと、害獣によって農業が成り立たず、村自体がなくなっていく可能性がどんどん高くなるのをオオカミが防ぐ。
この効果とリスクをどう見るかという議論になるのかな、と思っています。
過疎、高齢化の進んでいる地域での地域住民害獣に対する意識は非常に高い。
一方で、有効な対策もない。
コストが高く、人でも必要な電気ネットなどの柵を設ける対策も手入れがかなり必要であったり、と。
なかなか害獣の対策が必要な知識こそ、そのような対策を行うのが難しい現状がある。
このオオカミの導入は、費用対効果が合うことがきちんとした科学的調査に裏付けされているのであれば、
実践する価値はあるかもしれない。
そういった点で、試験的導入を早期に行うことに対しては非常に賛成。
けれど、現時点でその判定は難しく、効果とリスクの実証には長い月日がかかると思われる。
そういった意味で高齢化、過疎が進んでおり、緊急的な対策が必要とされる現状に合うかと言われれば、
疑問に感じます。
個人的には、試験的導入に際して地域住民や世間がこのオオカミの導入をどのように捕らえるかに興味があります。
研究者的な視点、世間一般、地域住民では認識にズレが生じるでしょう。
ヒトに対してのリスクがある、動物を導入するというのはある意味でかなり画期的だと思っています。
(生態学的な意味ではなく、自然というものに対する一般の認識という面において)
実際に導入するかどうかは別にしていも世間一般の感情としてこれを受け入れるかどうかに興味がありますね。
ただ、実際の対策という意味において比較的短期間に導入可能でリスクも低い対策として有効なのは
猟師の育成とシカ肉流通の増加かな、と個人的には思っています。
北海道では学校給食にシカ肉の導入がされている実例もありますし、
ニホンジカは病気、寄生虫も少なく、安全性も高い。
脂身が少なく、ジューシーな油が好きって人にはいまいちかもしれませんが、
女性や健康に気を使われている方にはお勧めという話も聞きました。
自分もシカ肉は食べる方ですが、(猟師の資格を持つ友達からよく買っています。)
自分も脂身があるほうが好きなのですが、オリーブオイルと和えてから焼くといい聞き、
実際にやってみるとおいしかったです。
血抜きがきちんとされた肉は臭みもなく、普通においしいです。
猟師は年々高齢化しており、その技術が失われようとしています。
そのような文化、技術を守るためにも、猟師の育成というものは今後重要なことだと思っています。
最後ちょっと話題がずれた気もしますが、
この問題はしっかりウオッチしていきたいですね。
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