忍者ブログ

HIRO's Blog

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

COP10の主要議題の一つABSってなんじゃそりゃ?

先日、ついに休学届を大学に提出してきました。
事由の項目には、
COP10についてのNGOボランティアにより、学業が困難になるため
と書いてきました。
さぁがんばろう!!



さてさて、いろんなところで説明してもなかなかわかってもらえないABS。
自分が説明するときに使いやすいようにまとめてみました。


たとえば私、Hiroが先進国のエリート製薬会社のエリート研究員だったとしましょうw
そんな自分が発展途上国(A国)の先住民族でいろーんな秘薬をよくしっているおじじさまを尋ね、
「ねぇねぇおじじさま、なにかいいお薬になる植物おしえてもらえませんか?」

と聞いて、教えてもらった草を持ち帰り、すごい薬を作りだしました!!

もうめっちゃよく効いて副作用もすくない薬です。
バカ売れです。自分と自分の製薬会社は特許もとって大儲け。ほっくほく。

でも、そのお金、おじじさまにはまったく還元されません。
もともとはおじじさまの知識なのに。

さらに強欲なHiroは、この草を薬として使う特許を自分がとったので、
もうその草を薬として使うな!!使いたいなら金払え!!
と言い出しました。(これは特にひどいとき)

そうなるとおじじさまは怒ります。
次から来た先進国のひとたち、みんな来るな!!来ても何にも教えんぞ!!なんにもやらんぞ!!


これでは先進国のひとたちも困ります。

さぁ困った困った。


じゃぁそれについて明確なルールをつくりましょう。
ちゃんと利用してもよい(アクセスしてもいい)かわりに、
ちゃんと利益を配分(ベネフィットシェアリング)しましょうってのが、
アクセス アンド ベネフィットシェアリングの問題です。

そして今年のCOP10ではこれについてのルールができることが決定しています。
しかし、それが努力目標としてのルールか、義務目標としてのルール(議定書)になるかはまだわかりません。
これから注目される点です。



でもこの問題がまた難しい。(ちょっと難易度あがりますよーがんばって!!)

利益配分は、「伝統的知識」の対価として行われ、
「持続可能な利用」と「保全」に使い、資源が今後もずっと使えるようにしていきましょー
という目的で伝統的知識を持っている「国家」に対して行われます。


要するに一番うまくいけば、
製薬会社が、おじじさまの住んでいる国にお金を払って利益配分をして、
国がおじじさまの住んでいる地域でこのような草が持続可能に利用できるように、また保全するためにお金が使われることになります。


が、こんなうまくいくかいなって問題が。

まず、払い手(製薬会社)がちゃんと利益配分しても、
発展途上国はそのお金を「保全」や「持続可能な利用」のために使わない・・・
腐敗した国家ではそのお金がどっかのお役人のポケットマネーに・・・

ちゃんと受けて(国家)が利益配分したとしても、
別の国が、おれの国でもその伝統的知識あったぞー
その草を薬草としてつかってたぞーお金くれー
っていわれたら、どうすんの?
(伝統的知識の対価として支払っているため、本当は払わないとおかしい・・・)

また、エリート研究員Hiroがちゃーんと利益配分して、論文をつくったとして、
その論文をつかって、薬をつくった別のAさんがぼろもうけしました。

Aさんはおじじさまの国に利益配分しなくていいの?
しなくていいなら、製薬会社はダミーの利益配分者を立てて安く利益配分してその情報で薬つくってぼろもうけしちゃいますよ?

とかとか。
いいだしたらきりがないってくらいたくさんの問題が。

でも、ちょっとおもしろい。
いろいろ資料になるもの乗せときます。



ABSくんは、やっかいな奴ですが、革新的メカニズムとも言われているカッコイイ奴です。
先進的でカッコイイ奴には、問題点が多いものです。    よね?人間関係もそうでしょ?
奴の花道を応援しましょう。




ABSについては、このページが情報もあたらしく、わかりやすいので概要をつかむにはオススメです。
http://www.eic.or.jp/library/pickup/pu090122.html

参考資料が、以下4つになります。
知識的な話が多いですが、全体像と、流れをつかんでもらえればと思います。
「気になるところ」「疑問に思ったところ」をピックアップするというくらいのつもりで・・・!

1)生物遺伝資源アクセスと利益配分に関する途上国国内法と国際ルールの発展
-名古屋大学エコトピア研究所の林希一郎氏の論文。
ABS議論の経緯関連法、問題の論点がまとめられている。
「物事に概要から入りたい!」という人にはうってつけです。
逆に、「事例などから入りたい!」という人は、さっと目を通して、詳細は後ほどゆっくり読んだらいいと思います。
いずれにしても、この資料は重宝します。
http://www.mri.co.jp/NEWS/magazine/journal/41/__icsFiles/afieldfile/2008/10/21/jm03032507.pdf

2)生物多様性条約(CBD) 遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS) 国際交渉と我が国の施策
-日本のABSに対するスタンスをまとめたパワポ資料です。
他国と比較しつつ見ないとあまり意味がありません。
現時点では、「国はこういう情報を発信しているんだ」というのを、確認して頂く程度で結構です。
http://www.jba.or.jp/report/industry/document/pdf/H19_karutahena_siryo.pdf

3)先住民族とCSR
-ABSの議論において先住民族の存在は欠かせません。
日本ではあまりなじみがない観念なので、じっくり読んで、イメージを膨らませてもらえればと思います。
後半でとりあげられている「バイオパイレシー」の事例が、ABSに直接関係してきます。
http://www.gef.or.jp/activity/economy/stn/shigen2007/04_adachi.pdf

4)ABSセミナー報告書
http://www.iucn.jp/cbd/pdf/seminar_report090131.pdf
-スイスのNGOでABSの交渉を長年追っている方(フランソワ)の講演の議事録です。
上記、1)2)3)を読んでモヤモヤしていることに、答えてくれる内容だと思います。




よければ周りの人に教えてあげてくださいな。

拍手[23回]

PR

COMMENT

NAME
TITLE
MAIL(非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS(コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます

文化の多様性保全

  • by 杉本佳男
  • 2010/02/14(Sun)21:35
  • Edit
批判ではありません。COP10ではいろいろな取りきめが期待されています。
私は、そのような制度作りも必要とは思いますが、フェアトレードで、生産地におカネが流れ込み、現地の人たちがお金の魔力にはまり、生産に力を入れなくなったという本末転倒な話しも聞きました。
すべてがそのような事例を引き起こすとは言えませんが、国家プロジェクトの多様性保全の一つの柱に文化の多様性保全がうたわれています。
それぞれの気候風土に合わせたライフスタイルの中からにじみ出てきた文化です。文明が社会の出力なら、文化は社会の制御力と捉えています。経済原理も必要ですが、他の多様な文脈も必要と考えます。
何より、一般人が興味を持ち、腑に落ちる多様性保全を伝えられないかと考えています。
過去五億年の5度に渡る大絶滅は寒冷化の中での出来事、今回は温暖化の中で進行中とは、本当に何かおかしいですね。
何かの意見交換ができれば幸いです。

無題

  • by Hiro
  • 2010/02/15(Mon)16:26
  • Edit
ABSのルールの中に、キャパシティビルディングというものがあります。
これは提供国の人たちに対して、利益配分の際に十分な判断ができるように教育が必要であるという考え方に基づいて教育を行うというものですが、これがまさにその問題を引き起こします。
教育は確かに必要ですが、例えば「英語」を教えることが本当に発展途上国に必要な教育なのでしょうか?森で暮らす先住民族に算数を教える必要性が?

そしてそのような人たちがお金をほしがるとでも?

教育が現地の文化を壊す可能性があります。それをどのように回避し、かつ、必要な教育を行うか、難しいところです。

生物多様性の普及啓発は本当に難しいです。
自分はみんな簡単に伝えようとするのはいいんですが、別々のことを言っているうえ、いまいちピンとくるものが自分には正直なくて、多少わかりにくくてもちゃんと3つの多様性について伝えるべきでは?と考えています。

現在は生物は年間4万種にわたって絶滅し、今こうしている瞬間にも絶滅していっています。
過去5億年の5度の大絶滅期は自然が起こしましたが、それ以上の6度目の絶滅期は人が起こしているんですよね。

その責任は私たちみなにあり、私たちはその加害者なのです。

そして被害者は、自然とこれから生まれてくる私たち自身の子供、子孫たち。
できるだけのこと取り組んでいきましょう。

意見交換たくさんできたらいいですね!!
よろしくお願いします。

TRACKBACK

Trackback URL:

カレンダー

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

フリーエリア

最新CM

[11/01 HIRO]
[07/03 つばさ]
[05/04 ぽぶ]
[02/15 Hiro]
[02/14 杉本佳男]

最新TB

プロフィール

HN:
Hiro
性別:
男性
自己紹介:
ユースと生物多様性を主なテーマに活動。
世界を変えていく活動を考えます。

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析

忍者アド

忍者アド

忍者アナライズ

忍者アナライズ

Copyright ©  -- HIRO's Blog --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]