東京では桜がきれいです。
週末には満開の桜が楽しめそうです。
昨年は留学していたためみれなかった桜。
今年はいつもの2倍楽しみです。
今話題の生物多様性。
自分のブログでもいくらでもでてくるこの言葉。
でもそもそも生物多様性ってなんなんだろう?
いろんな種類の生き物がいること?
なんとなくのイメージはつくけれど・・・
そんな感じの人が多いと思います。
せっかくなのでいつも自分が講演会で話していることをちょっとわかりやすく(?)まとめてみました。
そんなんじゃわかんねーよ、とか、こうしたほうがわかりやすいんじゃないってのがあれば教えてくださいw
生物多様性とは?
わかりやすさ重視でもできる限り正確な説明を。
生物多様性ってなんですか?
一般向けにわかりやすーいようにすごいイメージ的というかあまりにもざっくりした説明をする人多いけれど、個人的にはあまり好きじゃない。
わかりやすいのか、わかりにくいのかよくわからん説明よりちゃんと本当のこと少しくらいむずかしくてもちゃんと伝えた方がいいと思うんです。
生物多様性とはなにか?と聞かれたら、
・遺伝子の多様性
・種の多様性
・生態系の多様性
この3つの階層の多様性が生物多様性です。
これが模範回答です。
・遺伝子の多様性
同じ種の生き物でもいろんな性質、形質をもったものがいる。その違いが、多様性が、遺伝子の多様性。
ちなみに日本の桜ではもっとも植えられている本数が多いソメイヨシノは、すべてクローン。
遺伝子の多様性が極めて低いです。
そのためもしなにかソメイヨシノがかかりやすい病気が流行ると・・・
あっという間に日本の桜はほぼ全滅。ってことになっちゃいますね。
そういうことにならないためにも遺伝子の多様性が必要です。
(すべての桜が個体差がなく一斉に咲くのはクローンだからです。)
・種の多様性
これがきっと一番わかりやすい。
いろいろな種類の生き物がいるってこと。
サクラがいて、ミツバチがいて、スズメがいて、ネズミがいて、コイがいて、そしてヒトがいる。
それが種の多様性。
・生態系の多様性
これがちょっと難しい。
針葉樹の生態系や広葉樹の生態系、草原の生態系といった生き物同士のつながりがつくる生態系というコミュニティーがいろんな種類があること。これが生態系の多様性。
たとえば、もし日本に海も山も川も谷もなく平べったくどこいってもおんなじような森だけならそこに生きることのできる生き物は限られてくる。
どこにいってもおんなじような生物しかいない。
これじゃ、生態系の多様性がない。
でも、日本には高い山があって、そこにしか住めない生物同志が作る生態系というコミュニティーがあって、川の生態系があって、海の生態系がある。
そういった生態系がたくさんの種類があること、それが生態系の多様性。
この3段階の多様性が生物多様性なんです。
そしてその生物多様性が今危機に瀕しています。
もともとは1000年に1種という絶滅速度が、現在ではなんと一年間に4万種というスピードで生き物が絶滅していってしまっています。
人が生まれる前と後じゃ100~1000倍のスピードになっているとのことです。
この生物多様性がなくなってしまう要因を生物多様性の4つの危機として分類することができます。
1、 人間の開発・乱獲
2、 外来種・汚染物質
3、 人の手が入らなくなること
4、 気候変動
この4つです。
1、開発・乱獲
森を切ったり、魚を取りすぎたり、
一番直接的なイメージがありますね。
生物自体を殺したり、住んでいる場所を壊したりすることによる問題です。
2、外来種・汚染物質
もともとそこにいないはずの生き物を連れてくることで、その場所の生物同士のつながりを壊したり、
もともとそこにいた生き物と雑種をつくってしまったりする問題の外来種と、汚染物質を生態系に流してしまう問題です。
3、人の手がはいらなくなること
これはちょっと意外かもしれませんね。
いわゆる里地里山とよばれる場所などには特に人が手を入れる(撹乱する)ことをしないと保てない生態系があります。
たとえばカブトムシ。
あの虫はコナラなどが好きなのですが、コナラはある程度人が手を入れている山に多い木です。
人が手をいれなくなることでコナラが減ってしまい、結果カブトムシが減ってしまったりします。
こういう人と深いつながりがある生き物はたくさんいます。
マツタケとかもそうですね。
4、気候変動(温暖化)
ただ単に気温が上がるという問題だけではありません。
海水が酸性化することも問題です。
海水が酸性化することで殻を作る生き物がが殻をつくることができなくなり、しんでしまいます。
これにより過去数十年で20パーセントのサンゴ礁がなくなり、さらに20%が劣化しました。
このままだと2050年までに世界中すべてのサンゴ礁がなくなる可能性も指摘されています。
気候変動気温が一、二度上がったからなんなんだ?って思うかもしれません。
でも、それが大問題なんです。
たとえば変温動物っていますよね?
自分で体温調整ができない動物です。
その動物にとっては一,二度の気温上昇がそのまま体温の上昇です。
私たち人の平熱が36度だったとして、それが1、2度上がるとどうなりますか?
しかもそれが毎日、四六時中。
とんでもない話だと思いませんか?3度あがるとどうなりますか?
生物多様性と生物多様性に迫る危機。
わかっていただけましたでしょうか?
次はどうして生物多様性とはなにかについて触れていきたいと思います。
それではでは。
[3回]
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COMMENT
生物多様性がよくわかりません。
最近、頻繁に言われている生物多様性。なぜ重視しなければならないのかがよくわかりません。
確かに地球上に生存する生物種が多様な方が良さげに思えます。しかし生物多様性を重視することは、最終的に人類の活動の否定につながるような気がするのですが。
外来種がどうこうよりは、60億人を超えてなお増加し続ける人類の活動の方が、明らかに地球上の生態系に多大な影響を与えているように思います。
あくまで私の独断と偏見なのですが生物多様性という語には、「Save the earth」というステッカーを貼り付けた4WD車に乗って森林をなぎ倒して奥地に入り込み、貴重種の採集にいそしむ自然保護団体のようなイメージがあります。あくまで例えですが・・・。
初めての書き込みでこのような意見を主張するのは大変失礼だとは思うのですが、生物多様性の重要性を訴える書籍やHPを見ても、生物多様性がどうにも現実的ではなく絵空事のようにしか思われないのです。
RE
すでに疑問が解決されていたら、申し訳ありません。
ブログのコメントをよくわかっておらず、放置してしまいましたことをお詫びいたします。
生物多様性、という言葉自体はただの基準ですので、
それ自体が絵空事というのはよくわからず、
疑問点をきちんと理解できているのか怪しいのですが、
生物多様性がなんなのか、その科学的な捉え方と問題点については上記書かせていただきました。
なので、もう少しイメージの部分から説明させていただきたいと思います。
よく、「自然を守りましょう」、といわれるフレーズがあります。
イメージとして、一般的にはわかりやすいかもしれませんが、
自然という言葉が持つ意味や範囲は膨大です。
そこらに吹く風も岩もすべて自然です。
それを一緒くたにして守りましょう、ではなにをどう優先的に守ればいいかわからない。
もう少し、科学的に、限定する必要がある。
その中で生まれた言葉の一つが生物多様性だと考えています。
そして、なぜ守らなくてはいけないか、の理由ですが、
その理由としては個人の価値観による部分もあり、多種多様です。
生物多様性そのものに価値を見出す人もいれば、そうでない人もいる。
けれど、私達すべての人間にとって共通の価値もある。
それが生物多様性が私達の生活の基盤となっており、
私達の生活が生物多様性の恩恵からなっているということです。
だからこそ、生物多様性を守ろうという発想です。
生物多様性そのものに価値を求める人の中には、
人のほうが悪い影響を与えているという意見もありますし、
それは事実だと思います。
しかし、出発点としては「人のために守ろう」という発想が重要な一要素としてあるのです。
なので、人の生活そのものを否定することはありません。
人の生活を前提とし、さらにその上でどうすればいいか、というのが今されている議論です。
それが、人が環境に与える付加が環境の回復力を超えないようにすることで、
これを目指すことは現実的に可能だといわれています。
生物多様性を守ろうという動きはこのようなことです。
もうちょっと疑問点を明らかにしていただければ、
的確な返答ができると思います。
遅くなって申し訳ありませんが、
何か質問があればまたご質問ください。