忍者ブログ

HIRO's Blog

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ひろと生物多様性とCOP10 その9 COP10後編

 COP10、2週目。 
10月25日 
このあたりから一気に緊張感は高まっていく。 
議論する時間はもう少ない。 

この日はがけいきでフォーラムを開催。 
いとくんが主導で進め、講演を行った。 
彼はまだ1年生。活動もまだ初めて。 
にもかかわらず、会議の議論の中身を深く追うことができていて、 
生物多様性自体の知識こそまだだけれど、COP10という会議についての議論で言えば、 
自分やまいまいぐらいできるようになっていて、分野によっては彼の方がわかることも。 
将来が本当に楽しみ。 
彼だけじゃない。いろんなメンバーががけいきに入り、初めと比べてものすごく成長している。 
多分自分も。 
そのことはユースの組織として本当に大事なことだと思う。 


10月26日 
翌日からはハイレベルセグメント(閣僚級会合)ということもあり、 
基本的に大まかな議論はこの日まで。 
決めきれなかったことを閣僚級で話し合う。 

いままでだらだらしていた議論もこの日は一気に進む。 
ロビイングも必死にやるが、それだけではもうどうにもならない部分もある。 
どういったアクションができるか、必死にみんなで考える。 

よくない空気が漂うこともしばしば。 
がけ生きないにも緊張感が走る・・・ 

しかし、議論はそれほど進まず、早い段階で翌日に持ち越されることが決まった。 


10月27日 
ハイレベルセグメント初日。 
松本環境大臣からの提案が出される。 
しかし、愛知目標の提案は非常に弱いもの。 

この日から大事な議論は表面化でされることが多くなる。 
官僚レベルの議論と閣僚レベルの議論に分かれ、 
自分たちでは閣僚レベルの議論参加は難しくなってくる。 

議論は遅くまで続く。 
このころには終電で帰るといったことが普通になってくる。 


10月28日 
この日がけいきがしたことは、本当に大きな成果だと思う。 

集団ロビイング 
がけいきのある意味もっとも強い武器はその人数。 
そのときいた2,30人という規模で代表団をあたってのロビイング。 

ユースの主張を伝えた。 
この人数で行くとさすがに対応せざる得ないらしい。 
しっかりこちらの話を聞いてくれたし、意見を教えてくれた。 

大きかったのはアフリカグループの代表に話に行った時。 
「本当に損失をゼロにできると思うのか?」と聞かれ、 
「はい」とそう答えた。 
そしてユースの意見をきちんと受け止める、尊重するという風にいってもらえ、 
損失をゼロにするように動くといってもらえた(時間的拘束力については言及なしだったのが穴だったけど。) 
ほかの国がどういう主張をしているかを逆に聞かれ、ブラジルの状態を伝えるとわかったといって、その交渉官はブラジルの交渉官に話に行った。 

最終的にいくつまわったか忘れてしまったが、 
多くの国の交渉官に話に行った。 

そして、ワーキンググループが始まる。 
生物多様性をゼロに近づける、という表現ではなく、生物多様性の損失をゼロにする。 
という表現を使おうという話が進んでいく。そのこと自体はすごくうれしいことの一方で、 
時間的拘束の論点に問題が残る。 
むしろそちらの方が重要だからだ。 

まずい、という空気が流れる。 
その中でれいらが一言。 
「ひろさん発言してください」 

いや、そんなむちゃ言うなと答えつつ、 
でも、いやありかも。 

と思い、急いで発言内容作成へ。 
もちろん英語での発言だからだ。 
前回と違い練習なしだったが、メンバーとぱぱっと原稿を作り、 
発言を要求するマイクのボタンを押した。 

要求は答えられず、各国の発言が続いていく。 
そして最後の発言を「タイ」にお願いします。 
と言われた時のがっくり感はひどかった。 

でもまだ可能性があるかも、と思い練習は続ける。 

そして、議長から最後にNGOから発言の要求があります。 
NGOの方どうぞ、とのアナウンス。 

発言要求中を意味するマイクのライトの点滅が、 
発言可能を意味する点灯に代わる。 

話すタイミングがわからず、とまどったが、 
Thanky Mr chairから、発言を行った。 

あとは頭真っ白。 
とにかく最後まで言い切った。(途中一文飛ばしそうになったが) 
フォト
フォト
普通国際会議でWWFやIUCNのような組織を除いてNGOに、ましてやユースに発言権をあたえられることはほとんどない。 
お飾りのように一番初めのプレナリーで発言を許可されるだけだ。 


だから、この場でユースが発言したできたこと、したことの意味は本当に大きい。 
議論している、その中で発言をしたからだ。 


Thank you Mr chair. 

I am Japanese youth from a group Biodiversity on the Brink. 
私はがけいきに所属する日本のユースです。 
We think it is essential that biodiversity loss be halted as soon as 
possible. 
生物多様性の損失はできる限り早く止める必要がある。 
It is of crucial importance that the time frame “by 2020” 
should refer to halt the loss of biodiversity. 
特に2020年というタイムフレームを損失をゼロにするという言葉にかける必要がある。 
Because once biodiversity is lost, it is almost impossible to 
completely restore. 
なぜなら一度失った生物多様性を完全に回復させることはできない。 

Moreover, the loss of biodiversity is an urgent threat that affects 
every one of us, especially future generations. 
さらに生物多様性の損失はすべての私たちにとって特に次世代にとって緊急の脅威である。 

We and 40 million species cannot wait anymore, and we need strong and 
time-bound mission. 
私たち4万種はもう待つことはできない。私たちに必要なのは強い時間的な拘束力のあるミッションだ! 

We strongly support the mission to read as the following: 
Take effective and urgent action to halt by 2020 the loss of 
biodiversity, in order to ensure… and so on. 

私たちは強く、2020年までに生物多様性の損失をゼロにし、・・・といったミッションを支持する。 

We ask for parties’ support on our proposal. 
私たちの提案をどなたか支持をお願いします。(締約国による支持がないと締約国以外の発言は効力を持たないため) 

Thank you. 


その結果は議長による留意。 
プレナリ―で発言できた時より、よっぽどうれしかったのを覚えてる。 

ところが、一方で名古屋議定書、ABSが採択されないという決定が議長(ABSを議論するグループの議長)の方からされたという情報が入ってくる。 
今回のCOP10では決定できない。11で決定をしようというものだ。 

会場中がいっきにあわただしくなる。 
会場中に緊張感が走る。 

ABSの議定書ができなければ愛知目標の決定はできないという発展途上国も多かった。 
これは単にABS議定書だけなく、悪い目標、いい目標はさておき、そもそも愛知目標の決定がされない危険性がいっきに出てきた瞬間だった。 


しばらくして、松本議長(全体をとおしての議長)の方からやはりがんばって合意をしよう、 
という連絡が各閣僚を通じて官僚へ。 
その叩き台をこの日のうちに作るという話になった。 


そしてまた愛知目標についてはコンタクトグループでの議論へ。 
さっきの調子はどこへやら、議論は時間的拘束力の部分についてよくない方向へ。 

ほんとに議論がやばいところにいったときに前から用意していた緊急アクションを実施。 
PCの画面に『2020年までに損失をゼロに」と表示し、ただ立つだけ。 
会場のなかではバナーなどの使用がものすごく厳しく制限される。 
自分たちの主張をA4サイズの紙に書いてリュックに貼っているだけでアウト。 
取りなさいと指摘される始末。 

自分たちの主張を行うにもルールの外にならないぎりぎりを進む必要があった。 
だからこそのこのアクション。 

大丈夫かな、と不安だったけれどすごいよかった。 
正直自分でも意外なぐらいの効果だった。 

狭い会場にはいり、入口でPCを広げるユースたち。 
そりゃ目立ちます。 

しかも議長から「あなたたちの言いたいことはわかった。けれど、議論の進行を止めるからここにいてていいのでPCは閉じなさい」と言われた。 
しかし、そのことがよかった。 
会場の後ろに立っているので、前見ている人は気付かない人も多い。 
(議長は会場後部を向いて座っているのでばっちり見える) 

議長の発言を受けてみんながいっせいに振り向いて自分たちの主張をみる。 
その多くはさきほどのロビイングではなした国の人たちやさきほどの自分の主張を聞いた人たち。 
自分たちの主張を再確認してもらうことができた。 

そしてこの議論は打ち切られ、この場での決着は流された。 
明らかに会場の雰囲気が変わった瞬間だった。 

しかし、相変わらず愛知目標が合意されないんじゃないのかという緊張感が走る。 

フォト

そして10月29日COP10最終日。 
議論を追いつつ、自分たちの主張を伝えるアクションも行う。 

ひとつ、またひとつと残った論点が決定されていく。 
自分たちが主張してる点は論点の中でも重いもの。 
どんどん後回し、後回しにされていく。 

結局午後からの最後のプレナリ―に間に合わず、プレナリ―は前半と後半に分かれ休憩へ。 
COP10終了予定時刻の18時から外で行われ出したパーティーをしり目に、 
狭い部屋で継続され、議論は続く。 
中国のものすごい反発を受け、保護地域の目標は低い目標で合意されてしまう。 
ミッションについても弱いまま、大まかな合意だね、という雰囲気が流れ、その場は閉じられた。 

9時から始まるといわれたプレナリ―後半。 
夜22時からというアナウンスが流れる。 
しかし22時になってもはじまらない。 
(この時官僚が集まりざわざわと話しているのに気付けなかった。ここで最後のいろんな結論がだされていたはずなのに・・・) 

がけいきとしても最後にアクションをやろうという話がでる。 
けれど、それはがけいきとしてやるべきではないという判断を自分は下した。 
この判断は、みんなに受け入れてもらえるものではなかった。 
かなり厳しいことも言われた。COP10が終わった後、自分が大きく悩んだことの一つだ。 



22時半を回ったころから会議は始まる。 
無機的に、この件についていろんはあるか、ないようだったら決定だ。 
決定しました。という議長の発言が進んでいく。 
たんたんと・・・・ 


そして最後に残ったのが、ABS名古屋議定書と愛知目標と資金動員戦略の3つ。 
どの順番で議論するか、でまずもめ、途中何度かボリビアの発言でもめはしたが、 
なんとか決定。 
ひとつずつの項目について仮合意をとってから、3つまとめて採択するということになっての決定。 

愛知目標の決定はたんたんと勧められ、気づけば決定されていた。 

3つが採択され、みんながたちあがって手をたたく。 
自分の中で感情の整理がつかない。 
自分たちがずっと追って来たものが、望まない形ではあったけれど、 
最低限の合意がされた。 

この決定のための活動がここで終わった。 
いろんなことがありすぎてよくわからない。 
目標ができたことが、終わったことがうれしいのか、 
望まない形での合意が悲しいのか、代表としてちゃんとやれたのか不安なのか、 
最後の自分の判断が正しかったのか疑問に感じているのか、、、 

ただ今は立ちあがって、 
ユースも、NGOも、交渉官も、発展途上国も、先進国も、いろんな人が努力してできた愛知目標の完成を、 
どういった形であれ、がけいきでみんなでやってきたことが結果になったことを 
拍手で迎えようと思った。 
フォト
だれかがいっていた。 
愛知議定書は自分たちの活動の成績表だと。 
がけいきですべてが変えられるわけでも、がけいきの活動がそのまま結果になるわけじゃもちろんない。 

でも、最終的に問題のあった部分について自分たちがもっと活動を行うべきだったことに違いはない。

これが成績表であるなら、これからは悪かったところを直していけばいい。 
そんな風に思った。 

すでに日は変わり、10月30日の午前3時頃。 


急いで最終的にできた愛知目標についての評価を書き、 
参考: http://bit.ly/c66omL  
記者に撒きに行った。 

外は雨が降っていて終電は当たり前だがなく、 
むしろもうすぐ始発という時間で、 
みんなで軽く振り返りの話をしてから、 
車のピストン輸送で入れ替わりで帰った。 

自分の番が来るまでの間、 
だれもいなくなった会場を周り、 
少し写真を撮った。 
フォト
もう終わったことがただ信じられなく、 
何度も何度もお世話になったコンタクトグループの部屋に行ったり、会議場行ったり・・・ 
どこにいってもここであんなことしたな、と思った。 
3週間自分はここにいた。 
大学を休学して、自分の時間を全部生物多様性の活動に、がけいきに充てた。 

そのあとのことはあんまりよく覚えていない。 

車に乗せてもらって帰って、とにかくお酒が飲みたくて、 
ただもうその頃には朝だったから朝ご飯食べて、お酒飲んで死んだように寝た気がする。 

「生物多様性」を守るための活動は終わっていない。 
むしろこれからだ。 
がけっぷちの生物多様性とわたしちの未来がどうなるかは、 
今後10年自分たちが生物多様性とどう向き合い、行動していくかできまる。 
やらなきゃならないことは山ほどある。 

でも、このとき自分の「COP10」に向けた活動は終わった。 

そして明日。がけいきは解散する。

拍手[0回]

PR

COMMENT

NAME
TITLE
MAIL(非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS(コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます

TRACKBACK

Trackback URL:

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

フリーエリア

最新CM

[11/01 HIRO]
[07/03 つばさ]
[05/04 ぽぶ]
[02/15 Hiro]
[02/14 杉本佳男]

最新TB

プロフィール

HN:
Hiro
性別:
男性
自己紹介:
ユースと生物多様性を主なテーマに活動。
世界を変えていく活動を考えます。

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析

忍者アド

忍者アド

忍者アナライズ

忍者アナライズ

Copyright ©  -- HIRO's Blog --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]