先日、ついに休学届を大学に提出してきました。
事由の項目には、
COP10についてのNGOボランティアにより、学業が困難になるため
と書いてきました。
さぁがんばろう!!
さてさて、いろんなところで説明してもなかなかわかってもらえないABS。
自分が説明するときに使いやすいようにまとめてみました。
たとえば私、Hiroが先進国のエリート製薬会社のエリート研究員だったとしましょうw
そんな自分が発展途上国(A国)の先住民族でいろーんな秘薬をよくしっているおじじさまを尋ね、
「ねぇねぇおじじさま、なにかいいお薬になる植物おしえてもらえませんか?」
と聞いて、教えてもらった草を持ち帰り、すごい薬を作りだしました!!
もうめっちゃよく効いて副作用もすくない薬です。
バカ売れです。自分と自分の製薬会社は特許もとって大儲け。ほっくほく。
でも、そのお金、おじじさまにはまったく還元されません。
もともとはおじじさまの知識なのに。
さらに強欲なHiroは、この草を薬として使う特許を自分がとったので、
もうその草を薬として使うな!!使いたいなら金払え!!
と言い出しました。(これは特にひどいとき)
そうなるとおじじさまは怒ります。
次から来た先進国のひとたち、みんな来るな!!来ても何にも教えんぞ!!なんにもやらんぞ!!
これでは先進国のひとたちも困ります。
さぁ困った困った。
じゃぁそれについて明確なルールをつくりましょう。
ちゃんと利用してもよい(アクセスしてもいい)かわりに、
ちゃんと利益を配分(ベネフィットシェアリング)しましょうってのが、
アクセス アンド ベネフィットシェアリングの問題です。
そして今年のCOP10ではこれについてのルールができることが決定しています。
しかし、それが努力目標としてのルールか、義務目標としてのルール(議定書)になるかはまだわかりません。
これから注目される点です。
でもこの問題がまた難しい。(ちょっと難易度あがりますよーがんばって!!)
利益配分は、「伝統的知識」の対価として行われ、
「持続可能な利用」と「保全」に使い、資源が今後もずっと使えるようにしていきましょー
という目的で伝統的知識を持っている「国家」に対して行われます。
要するに一番うまくいけば、
製薬会社が、おじじさまの住んでいる国にお金を払って利益配分をして、
国がおじじさまの住んでいる地域でこのような草が持続可能に利用できるように、また保全するためにお金が使われることになります。
が、こんなうまくいくかいなって問題が。
まず、払い手(製薬会社)がちゃんと利益配分しても、
発展途上国はそのお金を「保全」や「持続可能な利用」のために使わない・・・
腐敗した国家ではそのお金がどっかのお役人のポケットマネーに・・・
ちゃんと受けて(国家)が利益配分したとしても、
別の国が、おれの国でもその伝統的知識あったぞー
その草を薬草としてつかってたぞーお金くれー
っていわれたら、どうすんの?
(伝統的知識の対価として支払っているため、本当は払わないとおかしい・・・)
また、エリート研究員Hiroがちゃーんと利益配分して、論文をつくったとして、
その論文をつかって、薬をつくった別のAさんがぼろもうけしました。
Aさんはおじじさまの国に利益配分しなくていいの?
しなくていいなら、製薬会社はダミーの利益配分者を立てて安く利益配分してその情報で薬つくってぼろもうけしちゃいますよ?
とかとか。
いいだしたらきりがないってくらいたくさんの問題が。
でも、ちょっとおもしろい。
いろいろ資料になるもの乗せときます。
ABSくんは、やっかいな奴ですが、革新的メカニズムとも言われているカッコイイ奴です。
先進的でカッコイイ奴には、問題点が多いものです。 よね?人間関係もそうでしょ?
奴の花道を応援しましょう。
ABSについては、このページが情報もあたらしく、わかりやすいので概要をつかむにはオススメです。
http://www.eic.or.jp/library/pickup/pu090122.html
参考資料が、以下4つになります。
知識的な話が多いですが、全体像と、流れをつかんでもらえればと思います。
「気になるところ」「疑問に思ったところ」をピックアップするというくらいのつもりで・・・!
1)生物遺伝資源アクセスと利益配分に関する途上国国内法と国際ルールの発展
-名古屋大学エコトピア研究所の林希一郎氏の論文。
ABS議論の経緯関連法、問題の論点がまとめられている。
「物事に概要から入りたい!」という人にはうってつけです。
逆に、「事例などから入りたい!」という人は、さっと目を通して、詳細は後ほどゆっくり読んだらいいと思います。
いずれにしても、この資料は重宝します。
http://www.mri.co.jp/NEWS/magazine/journal/41/__icsFiles/afieldfile/2008/10/21/jm03032507.pdf
2)生物多様性条約(CBD) 遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS) 国際交渉と我が国の施策
-日本のABSに対するスタンスをまとめたパワポ資料です。
他国と比較しつつ見ないとあまり意味がありません。
現時点では、「国はこういう情報を発信しているんだ」というのを、確認して頂く程度で結構です。
http://www.jba.or.jp/report/industry/document/pdf/H19_karutahena_siryo.pdf
3)先住民族とCSR
-ABSの議論において先住民族の存在は欠かせません。
日本ではあまりなじみがない観念なので、じっくり読んで、イメージを膨らませてもらえればと思います。
後半でとりあげられている「バイオパイレシー」の事例が、ABSに直接関係してきます。
http://www.gef.or.jp/activity/economy/stn/shigen2007/04_adachi.pdf
4)ABSセミナー報告書
http://www.iucn.jp/cbd/pdf/seminar_report090131.pdf
-スイスのNGOでABSの交渉を長年追っている方(フランソワ)の講演の議事録です。
上記、1)2)3)を読んでモヤモヤしていることに、答えてくれる内容だと思います。
よければ周りの人に教えてあげてくださいな。
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